産業保健師として企業に入社した後、次に確認すべきは「産業保健体制」です。会社の業種や文化を理解したら、健康管理の仕組みや関係者を把握することで、効果的な活動の土台を作りましょう。
✅ まずは産業保健体制をチェック!
企業ごとに健康管理業務の体制や運用方法は大きく異なります。以下のポイントを押さえて、業務の全体像を把握しましょう。✅ 産業保健体制を把握するための10のチェックポイント
1️⃣ 産業医の契約内容☑ 専属 or 嘱託(契約形態)☑ 訪問頻度(月◯回・オンライン対応の有無)
☑ 産業医の主な業務範囲(面談・職場巡視・衛生委員会への関与など)
☑ 産業医の専門性(内科・精神科・産業医学など)
☑ 実施時期(年度内のスケジュールを確認)
☑ 案内方法(メール通知・紙配布・システム登録など)
☑ 結果の管理方法(データ化・紙保管・産業医への共有フロー)
☑ 健診後の事後措置の流れ(要精検者・要面談者の基準)
☑ 高ストレス者の対応フロー(産業医面談の基準・従業員への案内)
☑ 集団分析の活用状況(職場改善につながっているか)
☑ 受検率向上の工夫(前年度の受検率・課題)
☑ 産業医面談の実施フロー(対象者への案内・人事との連携)
☑ 対応履歴の記録・管理方法
☑ 長時間労働の多い部署・職種の把握
☑ 休職・復職支援の流れ(主治医意見書の確認・職場復帰プログラムの有無)
☑ メンタル不調者対応のフロー(人事・上司・産業医との連携)
☑ 過去の事例や社内での傾向(部署別・年代別など)
☑ 議題の決定方法(固定テーマ?現場からの意見収集?)
☑ 産業医・委員との連携(事前打ち合わせの有無)
☑ 議事録の作成・保管・周知方法
☑ 労災申請の手続き(書類作成・提出期限の管理)
☑ 再発防止策の実施(職場環境の見直し・安全対策の強化)
☑ 過去の労災事例と対応(どのような対策が講じられたか)
☑ 実施方法(対面・オンライン・動画配信などの形態)
☑ 参加率向上の工夫(ポスター掲示・社内SNS活用など)
☑ 過去の実績と評価(どのテーマが従業員に響いたか)
☑ 記録の管理(カルテの作成・産業医への共有ルール)
☑ フォローアップ体制(継続支援の有無)
☑ 相談内容の傾向(メンタル・身体・両立支援など)
☑ 契約内容の確認(EAPの導入有無・契約期間・利用率)
☑ 外部研修の活用(最新の産業保健情報を学べる機会の確保)
☑ 地域資源との連携(保健所・医療機関・支援センターなど)
✅ 情報収集のポイント:社内のキーパーソンを活用!
「この業務は誰が担当しているの?」と迷うことが多いかもしれません。以下の社内のキーパーソンに相談すると、スムーズに情報を得ることができます。🎯 情報収集のためのキーパーソン
💡 人事・総務担当者 → 健康診断や労働時間管理の実務担当
💡 産業医 → 健康管理業務の方針や過去の課題を把握
💡 衛生委員会メンバー → 職場ごとの健康課題のヒントを得る
💡 労働組合の代表者 → 従業員の声や職場環境の実情を知る
💡 経営層(社長・役員) → 会社の方針や優先事項を確認
💡 前任者・ベテラン産業保健師 → 暗黙知や過去のノウハウを教えてもらう
✅ 会社の文化に合わせて、業務の進め方を工夫しよう
会社の文化や風土を理解し、それに合わせた産業保健活動を展開しましょう。会社の状況を考えずに…
❌ 紙文化の会社で、すべてメールでの対応を推進 → そもそもメールを活用しておらず、情報が伝わらない
❌ 繁忙期に健康教育を企画 → 誰も参加できず、形骸化
❌ 全社員面談を計画 → 人数が多すぎて、対応しきれない
会社の文化に合わせて…
⭕ 紙とメールを併用するなど、既存の文化にフィットさせる
⭕ 業務が落ち着く時期に健康施策を計画する
⭕ 優先度の高い部署や個別フォローが必要な従業員から対応を始める
いくら「良い施策」でも、会社の文化に合わなければ実現が難しくなります。
業務の進め方を柔軟に調整することが大切です。
✅ トラブル事例から学ぶ~先輩保健師の失敗談
👎 「型通りにやろうとして壁にぶつかった事例」新任の産業保健師Aさんは、前職での経験をそのまま新しい会社に適用しようとしました。しかし、前職は大企業・専属産業医ありの体制でしたが、新しい職場は中小企業で月1回の嘱託産業医体制。面談対象者の基準や事後措置の流れが全く異なり、混乱を招いてしまいました。
👍 「会社に合わせて柔軟に対応した成功事例」
産業保健師Bさんは入社時に、まず既存の産業保健体制を詳細に確認。産業医と人事担当者に過去の対応事例を聞き、会社の優先事項を把握しました。その上で、「今できること」と「将来的に改善したいこと」を整理し、段階的に体制を整えていきました。経営層の理解も得られ、3年かけて理想的な産業保健体制を構築できました。
✅ まとめ
産業保健師として企業に入社したら、「会社を知る」→「産業保健体制を把握する」というステップが重要です。🔹 自社の産業保健体制を確認し、健康管理業務の全体像を把握する
🔹 社内のキーパーソンと連携し、実務に必要な情報を収集する
🔹 会社の文化に合わせたアプローチで、効果的な健康管理業務を推進する
最初は不安に感じることもあるかもしれませんが、一つずつ確認しながら進めることで、自信を持って業務を遂行できるようになります。会社の実情を理解し、産業保健師として効果的なサポートができるように準備していきましょう!
次回は、産業保健の基本の『ん』として、人間関係の構築について解説します。お楽しみに!
産業保健の基本の『き』:入社後に最初にすべきこと
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