みなさんの働く会社には休養室はありますか?
産業保健師になって、休養室の設置が義務であることをはじめて知りました。
ここでは、休養室の目的と法的根拠、実際の運用のポイントをお伝えします。
休養室の設置は義務!
【事務所則第21条・安衛則第618条】
(休養室等)事業者は、常時50人以上、または常時女性30人以上の労働者を使用するときは、労働者がが床(横になる)ことのできる休養室または休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない。【事務所則第19条・安衛則第613条】
(休憩室等)事業者は、労働者が有効に利用できる休憩の設備を設けるよう努めなければならない。→ 安全衛生規則・事務所衛生基準規則によって、休養室の設置は義務付けられています。
※休憩室の設置は努力義務ですが、休養室は義務です。
休養室とは?
労働者が横になれるスペース
体調が悪くなった時や悪くなりそうなときに一時的に利用する部屋です。随時利用できるスペースが確保されていれば、専用のベッドは必須ではありません。
企業によってさまざまな設置例
- 休養室にソファベッドを設置し、必要に応じて簡易ベッドとして使用
- 常時ベッドを設置
- 診療所の一室を使用
- 産業保健職の執務室内に簡易ベッドを設置(保健室のようなイメージ)
※私の勤務先では、折り畳み式で搬送可能なベッドを使用しています!ただし、エレベーターが狭くストレッチャーが入らないのが難点…😅
利用者への配慮
利用者のプライバシーと安全を確保するため、状況に応じた配慮が必要です。
- 入口や通路から見えないよう目隠しを設ける
- 関係者以外の出入りを制限する
- 緊急時に安全に対応できる体制を整える
休養室利用中は勤務時間?休憩?
企業によって取り扱いが異なります。
- 会社にいる間は勤務扱い
- 1時間以内の利用なら勤務扱い
- 利用は休憩時間に限る
- 利用中は時間休を取得
就業規則に明記されていないケースも多いため、ルールの明確化がおすすめです。
休養室の利用時間は?
これも企業によってさまざまです。
休養室は一時的な症状の改善が目的のため、長時間の利用や感染症疑いのケースでは早期の帰宅または医療機関への搬送が基本です。
※不適切な利用を防ぐためにも、利用時間の上限を設定しておくとよいでしょう。
例:学校の保健室では「1時間まで」とされていることが多い。
休養室を利用できない人
- 発熱している、感染症を疑う場合 → 早めに医療機関へ
- 嘔吐などの症状がある場合 → 吐物の処理などの対応が難しく、衛生管理上の課題がある
次の利用者のためにも、制限を設けることが大切です。
以下のような場合は、すぐに救急車を呼ぶべきです
- 呼びかけに反応がない(意識障害)
- 麻痺がある
- 突然の痛みを訴えて倒れた
- 痙攣している
まとめ
休養室の管理は産業保健職が担当することが多く、運用ルールは企業ごとに異なります。
企業の方針に沿った明確なルールづくりをおすすめします。
休養室利用ルール(例)
- 発熱・感染症疑いがある場合は利用不可
- 利用時は社員証を持参
- 上司に報告してから利用する
- 利用は○時間以内とする
利用頻度が高い方は、職場や家庭で問題を抱えている可能性もあるため、注意深く観察しましょう。

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